栃木の低山を歩く
今日は、最初は丹沢に行こうと考えていたんだが、予定を変更して先日雨で行けなかった栃木の太平山に行ってきました。そこはいくつかの山が連なっているミニ山塊みたいな感じだ。太平山(341M)、晃石山(419M)、青入山(標高不明400M位?)、馬不入山(345M)が稜線でつながっていて、登ったり降りたりしながらそれらの山々を歩いてきた。まるで巨大な象の背中を歩いているような気分だった。
栃木って、俺の中ではあまり面白味のなさそうな県という偏見が以前からある。多分これは自分が茨城県民だから感じる偏見で、おそらく栃木の方々も同じように「茨城県ってあまり面白味のなさそうな県」と思っているだろう。隣同士の県民感情あるあるだ。しかし、去年あたりから山登りを割にするようになって、いやいやいやいや、、、栃木って山登りするには素晴らしい土地なんだなということに気付かされた。まだ自分は日光位しか行っていないけど、高い山はもちろん、多くの魅力的な低山もたくさんあることを知り、これは毎週山に(栃木に)行ってもいいよなぁ、って思った。しかも近い!
山登りをするようになって、他県に対する自分の偏見が少しなりとも取り除かれるのは良いことだと思う。まぁ逆も然りで、茨城には、栃木や群馬には存在しない海の魅力がきっとあるんだろうな。でも、俺は今のところ海よりも山に興味があるので、視線は自動的にそっちに向いてしまう。
8時に太平山神社にお参りして、入山。山登りというかハイキングという感じ。傾斜もさほどでもない。平日の午前中で、人はほとんどいない。ただ、2月に熊が目撃されたというニュースを訊いていたので、やや不安な気持ちもあるが、まあなんとかなるだろう。熊はさておき初めて登る山に入る瞬間はやっぱり緊張しますね。人気がないとなおさらだ。
最初の太平山の頂上にあっという間に到着。頂上に来た感じもほとんどない。富士浅間神社という神社がある。社は暗い赤い色の塗壁で頑丈に封印されており、「盗難の防止のためお賽銭は入れないでください」という但し書きが貼られてあった。がらんがらんと鈴(?)を鳴らして、挨拶をして。家を出る時ちょっと寒かったので冬用のアンダータイツを履いてきてしまったが暑いのでここで脱いで、フリースも脱ぐことにした。
次、晃石山(てるいしやま)。まぁ、フツーの山。とりたてて感動するわけでもなく、なんか、まぁ、ここが頂上なのね、へぇ、という位。登っている間、ものすごく歌の上手い鳥がいて「ソラシド・ソラシド・・・」という上昇音型をいろんなリズムのバリエーションで歌っていた。すげえなぁ、上手いなぁ。ヴィデオに撮ったつもりが撮れてなかったのが残念。
そこから下りになって、桜峠という名の峠を通過。なかなか素敵な名前。ちょっとだけ休憩。山桜の木から「ひらひら」と花びらが降ってくるのがよかった。カッコウが「かっこう」と鳴いていた。ウチの目の前の森でもよくカッコウは鳴いているんだけど、山の中のカッコウの鳴き声はいい感じに周囲の地形に反響して、聴こえ方が変わるのが面白いと思った。自然の音楽ホール。
この辺りまで来て、だんだんと山歩きに飽きてくる。ちょっとした上りと下りが単調にだらだらと続くだけで、身体がむず痒くなってくる。山に登っているという気持ちがしてこない。そもそも今日は「低山山歩き」なので当たり前なのは分かっているのだが…。上りで身体の筋肉は一応は動き出しはするのだけど、直ぐに終わってしまうのでぜんぜん目覚めてくれない。筋肉達は「ま、普段通り適当に過ごせばええんやろ?」という日常のだらけモードのままみたいだ。ここから麓に降りることもできるのでそうしようかなとも思ったが、せっかく来たわけだし、もう一つ先の山まで行くことにする。
馬不入山。もうこれ以上いいかなということで、ここで引き返すことに。出会った女性と少し話をする。自分の感想を述べると(正直言って全然アドレナリンが出てこない。がっつり直登の山の方が自分には性に合ってるみたいです)、私もそうなの!と言っていた。まぁ、もちろん山になんの責任もないし、そもそもわざわざ来てるのは自分の方であるので、こんな文句を言ってても何も始まらない。もういい加減麓に降りて出発地にもどろうと思っていたが、歩いてきた稜線をもう一度引き返してみることにする。
桜峠から晃石山に登り返す坂はなかなかの急登で、降りてくる時は何も感じなかったが、登り返しで両腿が攣りそうになる。ここにきてようやく筋肉が目を覚ましたみたいだ。後半も過ぎた今になってようやく身体が登山モードに切り替わってくれた、よかった。身体が登山モードに切り替わると気持ちも切り替わる。目だけでなく身体で山を楽しめるようになる。弾みが付いた足を使って、ずんずんと来た道を引き返す。途中で何故か頭の中でブラームスの4番が鳴り出し、脳内演奏しながら太平山神社まで一気に歩いた。ブラ4、やっぱいいなぁ、山歩きしながら感動してしまった。12時頃に神社について、フィニッシュ。車に戻って、帰宅。車中では大西順子のピアノトリオを聴く。すっげえぇ、かっこよかった。今までなんで気づかなかったんだろうというちょっとした動きとかが新鮮だった。太平山はブラームスと大西順子っていう思い出ができてよかった。